道具

お会式一乗行進に登場する万灯、纏、笛、鉦、うちわ太鼓には、使われるようになった理由や現在の形に至った経緯があります。
そして、行進する人々の願いや祈りが込められています。

万灯(まんどう)

万灯は、「お会式の魂」「日蓮聖人の御霊」と言われています。六角形に五重の塔がくみ上げられ、その段ごとに「南無妙法蓮華経」の七文字や日蓮聖人のお姿などが描かれています。その優美な万灯は日蓮聖人への帰依の心を象徴しています。
また、万灯には、白やピンクの和紙で折った花が、しだれ桜のように七重八重に飾られています。これは、日蓮聖人がご入滅されたとき、10月というのに時ならぬ桜の花が咲いたという伝えから、このように折り花が飾りつけられるようになったと言われています。
さらに、「万灯」には「たくさんのお灯明」という意味があります。お釈迦さまご在世当時も、万灯(たくさんの灯り)を供養する(献灯)ということが行われていたようです。夜間、ご説法に赴かれるお釈迦さまの足元を、在家の信者がお灯明をともしてご案内したことが伝わっており、これが今日の万灯行進の始まりではないかとも言われています。
「灯明」は、私たちの心に起こる貪りや愚痴の心を清浄にしてくれます。「万灯」を仏さまに献灯することによって、仏さまの智慧を頂き、明るい人生を過ごしていこうと決意する仏教徒の心意気が表されています。

纏(まとい)

纏がお会式で振られるようになったのは、江戸時代に遡ります。日蓮宗の信徒の各講が池上本門寺(東京・大田区)へ向かって威勢よくうちわ太鼓を叩き、お題目を唱えながら行進していくありさまをトビ職人の人たちが見て、ハッピ姿に纏を担いで参加したのが始まりと言われています。
本会の纏は、日蓮聖人の「我も法華経行者の一人なり。いかなる苦難にあおうとも、この道を我はゆかん」という力強い決意をわが心としていくために取り入れられました。

笛(ふえ)

騒音が現代のようになかった時代には、人に合図を送る道具であり、人の心を和ませる楽器として多く用いられていました。その透き通った笛の音のように、仏さまの教えが人々の心に響き、伝わっていくようにという願いでお会式に笛が取り入れられました。

鉦(かね)

鉦は、中国の青銅器時代にさかんに作られた楽器の一つですが、これには「魔よけ」という意味がこめられているそうです。このことから転じて、自分の心に生じてくる「怠け心」「もの惜しみする心」「人をねたむ心」などの「心の魔」に打ち勝つ決意をする意味でお会式に鉦が取り入れられました。

うちわ太鼓(だいこ)

心の奥に、「ズシンズシン」と響く太鼓の音は、士気を鼓舞する力強い響きをもっています。
「一天四海皆帰妙法」(世界全体を仏さまの教えで救い尽くす)という平和境実現のために勇猛精進する心意気を示すのが、うちわ太鼓です。法華経広宣流布に生涯を捧げられた日蓮聖人の精神を受け継ぐことを決意する意味でお会式にうちわ太鼓が取り入れられました。

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